まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

まりも物語:25、絶食 ~犬の腎不全末期・急激な食欲減退~

f:id:Marimotan:20200726134904j:plain

食欲が落ち、急に痩せてしまったマリモ

25、絶食 ~犬の腎不全末期・急激な食欲減退~

2月に入り、体調も安定して通院も皮下補液のみの日が続いていたが、当初は比較的良好だったマリモの食欲が、月半ばぐらいから僅かに落ちてきた。私はトッピングを色々工夫してみたけれど、前のように食べてはくれない。とうとう療法食を食べさせることは諦めて、好物の犬用カステラやサツマイモ、カボチャ、バナナ等を食べさせるようになった。

腎不全の子の食事は食欲にムラがあるし、喜んで食べたからと言って同じものばかりあげると直ぐに食べなくなってしまう。私は常時、療法食2種類以上、おやつは市販の犬用おやつ以外に、サツマイモ、カボチャ、バナナ、リンゴを常備し、手作り食として鶏肉と野菜のスープと生鮭と野菜のスープを常備して、その日の食欲に応じてマリモが食べてくれるまで、組み合わせを変えながら食事をさせていた。

通院の際に医師にもマリモが療法食を食べなくなったことは相談したけれど、腎不全末期の子では良くあることで、とにかく何でも食べてくれるものを食べさせるしかないのだという。マリモは私が朝食べているパンや、サラダチキンを欲しがることがあったので、パンとサラダチキンも常備食に追加して、何とか食べてくれるものを探して食べさせていた。

マリモは以前から、夜に帰宅した夫から歯磨きガムを貰うのが日課だった。その歯磨きガムは療法食を受け付けなくなってからも食べ続けており、たまにおかわりまでもらっていた。

通常の食事やおやつに関しては、毎日同じものだと直ぐに食べなくなってしまうのに、マリモはこの歯磨きガムだけは毎日楽しみにしているようで、夫が帰宅して夕食を食べ終わる頃になると、夫の足元にやってきて、尻尾フリフリでガムちょうだいアピールに余念が無い。

f:id:Marimotan:20200726134840j:plain

絶食状態になり、一気に衰弱したマリモ

遂に絶食に

そうやって、おやつ類と歯磨きガムしか食べない日々が何日か続いた後、遂にマリモは何も食べなくなってしまった。しかし食べ物に興味が無いわけでは無い。私が何か食べていると足元にやってきて欲しがる。

でも私が食べさせようとすると、鼻を近づけてクンクン臭いをかぐだけで決して口にしようとはしない。私は家にある食材を全て出してみたけれど、大好きなサツマイモでさえ臭いをかぐだけで食べない。

薬だけでも飲ませなくてはと思い、いつも通りヨーグルトにクレメジンを混ぜて小皿で与えても、一舐めたけして後は顔を背けている。しかし食事はともかく薬は飲ませないといけない。私はマリモを膝にのせて口を開かせ、薬を混ぜたヨーグルトを指先につけてマリモの口に入れ、無理矢理に飲ませた。しかし吐き気がひどいのだろうか、飲み込むときに少し辛そうだった。

さすがに完全に絶食となってしまうと体力が持たなくなってしまう。私は茹でたジャガイモやカボチャを裏ごししてポタージュスープにしてみたり、ネットで腎不全用の液体の療法食を取り寄せ、シリンジで口に入れてみたが、スープはほんのスプーン一杯程度しか食べず、療法食は吐き出してしまった。

腎不全の末期には強制給餌も必要になるとは聞いていたけれど、実際に食欲のない子に無理に食事をさせるというのは大変しんどいことだった。人間でも吐き気がして食欲のないときに無理に食事を口に入れられたら酷い苦痛だろう。

結局、医師に相談して約2週間ぶりに静脈点滴を再開することにした。点滴には既にビタミン剤も入っているということなので、それだけでも少しは栄養補給になるだろう。私は11月の時のように点滴さえすれば食欲は戻ると思っていたが、点滴を再開して数日が過ぎてもマリモの食欲が戻る様子が無い。マリモの体重は一気に落ちて約3.kgになっていた。

点滴再開

点滴再開から数日が過ぎたころ、状況確認のために血液検査を受けた。 

<血液検査> 2020年2月28日

BUN 130以上

CRE 7.3

HCT 29.7

貧血は微かに改善されていたものの、CREは絶望的に悪化していた。医師にマリモは今、末期のどの辺りに差し掛かっているのか尋ねると、個体差があるから何とも言えないとした後で「末期の折り返し地点は過ぎているのでは。」と言いにくそうに言葉を選びながら語ってくれた。

私も少しは犬の腎不全を勉強したのでこの数値が何を示しているかはそれなりに理解している。しかし、点滴を外していた僅か2週間でここまで悪化してしまったのだろうか。年明けの検査結果はそこまで悪くなかったし、2月になったころには体調はとても安定していたというのに。

いくら体調が安定していたとはいえ、やはり点滴を外したのが悪かったのだろうか。しかし3か月も点滴を続けたマリモの小さな両前脚は、もう針を刺す場所が無いほどに酷使されて固くなっているのだという。今回も刺せる場所がなく、脚先の歩くときにちょっと支障が出るような低い位置に刺した。マリモは家に帰るとそんな脚でもビッコを引き引き歩き回った。

体重が落ち始めたマリモは驚くような速さで衰弱していった。トイレに行く以外は殆ど歩かず、絶食が始まった当初は興味を示していた私の食事にも全く反応しない。ひたすら苦しそうに横たわるマリモを連れて、私は連日点滴に通った。

医師は表情を曇らせながら、もうここまでくるとできることは少ないと言う。そして人目も憚らず泣いてばかりの私に「これだけしっかりと点滴に通わせているから、きっと身体的な苦痛はあまりないと思いますよ。」と、慰めるように言った。

マリモの治療において、私が長生きさせることよりも楽しみをあまり奪いすぎないことを、そしてとにかく可能な限り苦痛を与えないことを最重視していることを慮っての言葉だった。

※まりもの名前は本来ひらがな表記ですが、文中では読みやすいようにカタカナにしてあります。

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村