まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

まりも物語:34、苦しませないために ~犬の腎不全末期・安楽死の是非~

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朝、パパを起こそうと奮闘するマリモ。これが生前最後の写真となった。

34、苦しませないために ~犬の腎不全末期・安楽死の是非~

マリモはほぼ毎日寝室のベッドで寝ていて、もうトイレとお水を飲む以外は全くリビングに来なくなってしまった。私はこまめに様子を見るようにはしていたけれど、万一ベッドの上でオシッコを漏らしてしまった時の為にオムツをさせることにした。

以前もヒートに際にオムツをさせようとしたけれど、その時はとても嫌がって抵抗したのに、今では全く抵抗しない。もう抵抗する元気さえないのだろう。

私はマリモに何かしてやれることは無いか、看病で気を付けることは無いかを調べるために、インターネットで腎不全の末期について色々と調べてみた。するとたびたび出てくるのが安楽死についてだった。

どのサイトにも腎不全の末期、特に最後を迎えるときに犬は物凄く苦しむと書かれている。その苦しみ様を見て飼い主が安楽死を選ぶことも少なくないのだという。

安楽死という選択

以前、実家の犬が掛かっていた獣医さんに母の代わりに薬を貰いにいった時に、その獣医さんが安楽死について老犬の飼い主さんに話しているのを聞いたことがある。その時医師は、「安楽死なんて簡単に勧めることはしない。勧めるとしたら癌の末期や腎不全末期など物凄く苦しむときだけですよ。」言っていた。

ちょうどマリモが腎不全と診断された直後だったので、私はマリモはそんな苦しい思いをすることになるのかと泣きたくなったのを覚えている。

生まれながらに重篤な臓器不全を抱えて、生後9か月から通院生活し、挙句最後は物凄く苦しむなんて、神様はマリモに何と残酷な運命を背負わせたのか。3月の絶食の時は奇跡の回復を遂げたマリモだけれど、身体全体の弱り具合や口の中の荒れ具合、腐敗臭のような口臭は、マリモが3月より遥かに重篤な状態だと物語っている。

マリモに再び復活する力があるとは思えない。私にできることと言えば回復を信じて通院させることよりも、とにかく苦痛を和らげ、最後までできる限り苦しませないために十分な医療を受けさせることだろう。

 安楽死については医師にも相談してみた。医師は腎不全の最後は嘔吐して痙攣して数時間激しく苦しむこと、そしてその最後の苦しみが始まったら、殆どの場合は何をしても回復することは無く、死亡することを話したうえで、もし最後にすごく苦しむようであれば、安楽死も選択肢のうちであることを教えてくれた。

だが決して勧める気はないのだろう。提案する風ではなく、私が聞くので答えた感じだった。私がもしマリモの立場で最後に物凄く苦しんで、しかもその苦しみが始まったらもう必ず死に至るとしたら、苦しむ前に安楽死したいと思う。

でもマリモはどうだろうか。それにもしかしたらマリモは最後まで激しく苦しまずに逝くかもしれない。そうであって欲しい。それでももしマリモが激しく苦しみだしたら、私は安楽死を選択するだろうか。マリモの命を絶つ決断などできるだろうか。結果長く苦しませて死なせてしまうのではないだろうか。様々な考えが頭をよぎる。この子にもう苦痛は与えたくない。

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夫とソファーに寝そべるマリモ。

 一緒に眠った夜

私はベッドで横たわるマリモの背中を撫でた。一段と肉が無くなってゴツゴツと骨があたる。もう体重は3kgを割ってしまっているだろう。今現在かなりしんどいはずだ。

夜になってマリモのベッドを寝室に運び、マリモを犬用ベッドに移して電気を消した。しかしマリモは私達のベッドに上がりたがってなかなか眠らない。前日の夜もベッドに上がりたがって夫を何度か起こしてしまっていた。私はマリモをベッドごと自分が寝る側のベッドの脇に移動させ、少し抱っこしてから犬用ベッドに寝かせた。

就寝してから2時間ほどたった頃、マリモは再び立ちあがってベッドの縁に前脚を掛けてきた。少し抱っこして宥めたけれど自分のベッドでは眠ってくれそうもない。仕方なく私はマリモを私のベッドに上げて、脇の下の辺りに寝かせた。マリモは私の脇の下に顔を埋めて、スヤスヤと眠りだした。

翌朝は私もマリモも6時ごろには起きて、私は朝食の準備のためにマリモをベッドに残して台所に向かった。再び寝室を覗いてみるとマリモは夫が寝ている辺りに移動して、パパを起こそうと奮闘している。今日は天気もいいしマリモも少し元気が出たのかなと思うと嬉しくなり、私は思わず写真を撮った。そしてこの写真が生前最後の元気なマリモの写真となった。

そして朝食の後、いつも通りに点滴を受けにマリモを病院に連れて行った。点滴が終わったマリモは後脚に点滴用の管を付けていた。医師の説明によると、マリモの前脚の静脈は両脚とも針の刺し過ぎで堅くなり、これ以上刺しても点滴の液が入っていかないのだそうだ。

後脚に管を入れてしまうと歩く際に違和感があると言うが、他に選択肢はない。家に帰ってリビングの床に降ろしてみると、マリモはかなり歩きにくそうに寝室まで歩いた。小さなやせ細った体のマリモが、後脚に管を刺してヨロヨロと歩く姿はあまりに痛々しく、泣き虫な私は思わず泣いた。最後の時が確実に近づいてきている。体の内側から骨を削られるような痛みが胸を突いた。

※まりもの名前は本来ひらがな表記ですが、文中では読みやすいようにカタカナにしてあります。

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