3、チーちゃん、結婚式でリングドッグに！
たくさんあるチーちゃんとの思い出の中でも、私にとって一際思い出深いのは、私の結婚式でチーちゃんがリングドッグを務めたことだ。
結婚が決まり、式場を選ぶときに絶対に外せない条件だったのが、チーちゃんも参加できる式場にすることだった。友人をたくさん呼ぶか、親戚だけ呼ぶか、リゾートで家族だけの式にするか、選択肢はたくさんあったけれども最も重要なことはチーちゃんが問題なく参加できることだった。
夫は私がチーちゃんを物凄く可愛がっていることをよく理解していたので、ワンコOKの式場にすることに一切異を唱えることはなかった。はっきり言ってあまり結婚式に興味が無かった夫は、私の意見を尊重するというより、本当に心の底からどうでもいいという感じで、式場選びは私に一任していた。そして私はあちこち会場を下見し、チーちゃんにリングドッグをさせられる式場を探した。
何か所か下見した後、私は横浜元町にある小さなチャペルに決めた。参加者ももろもろ事情があって親族は呼ばずに家族とごく親しい友人のみになったので、大きな会場にする必要はない。チーちゃんもあまり広すぎない会場の方が落ち着くだろう。
当日のチーちゃんの衣装とリングピローは私が手作りすることにした。元々洋裁は好きなのでペット用の服の型紙を参考に、真っ白なドレスにスパンコールの飾りを付けた。リングピローはリュックサックのように背中に背負える形にし、念のためドレスの背中とリングピローはマジックテープで固定できる作りにした。
リングドッグ チーちゃん
式の当日は兄夫婦が母とチーちゃんを車で式場まで連れてきてくれた。知らない場所にやってきたチーちゃんはキョトンとした顔をして、私を見つけると走ってこようとしたけれど、私はちょうどメイクの途中でいつものように抱き上げてやれない。チーちゃんは係の人に案内される母に連れられて尻尾フリフリで会場に入っていった。
式中、チーちゃんはまず母と一緒にチャペルの最前列に座って待機する。そして新郎新婦が入場して来たら指輪交換の前にチーちゃんがリングドッグとして登場し、チャペルの後ろから私達に指輪を届けてくれる。母はチーちゃんが迷走した時の為に最前列に留まり、チーちゃん係は兄が務めた。
直前のリハーサルを終えて式が始まると、母と最前列に居るチーちゃんが足をバタバタさせてこちらに来ようとしているのが見えた。そして式は順調に進みいよいよチーちゃんの出番！
兄に抱っこされたチーちゃんはチャペルの入り口にスタンバイし、兄が手を放すと勢いよくこちらに向かって歩き出した。そしてバージンロードの3分の２を歩き終えたとき、チーちゃんも何度も遊んでもらったことがある友人が座っていることにチーちゃんは気づいてしまった。早速友人に挨拶に行こうとするチーちゃん。友人はびっくりしてチーちゃんに「あっち！あっち！」と私の方を指さした。
すっかり脇道に逸れてしまったチーちゃんは、係員のお姉さんにバージンロードに戻され、出席者みんなの笑い声に包まれながら再び勢いよく歩き始め、無事に私達に指輪を届けてくれた。
そして和やかな雰囲気の中、式は無事に終わって写真撮影タイムが始まった。この時もチーちゃんは夫を遥にしのぐ人気ぶりで、皆チーちゃんの写真を撮り、チーちゃんを抱っこして私達と写真を撮るために長い列ができた。その後に私達がソロの写真を撮ったりしている間もチーちゃん人気は高く、チーちゃんは私と夫の友人たちにずーっと抱っこされ、撮影タイムが終わるときになってやっと母の元に戻った。
家族は既に別の日に食事会を開いていたため、式の後は友人だけで霧笛楼で小さな食事会を開いた。先に母と兄夫婦とともに帰宅の途についたチーちゃんはとても疲れていたようで、車の中でもずっと爆睡していたという。そして帰宅するとお気に入りのビーズクッションの上でひと眠りし、夕飯を食べてまた眠ってしまったそうだ。
人がたくさんいる会場で真ん中を歩き、知らない人にいっぱい抱っこされたチーちゃんはとても疲れただろう。でも式の間も全く吠えず、誰に抱っこされても絶対に暴れず、写真撮影にはカメラ目線ばっちりで応じ、サービス精神満点で結婚式を盛り上げてくれたチーちゃん。チーちゃんのおかげで今でも結婚式は私の人生最良の思い出の一つになった。
ありがとう！チーちゃん！
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