まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

まりも物語(番外編):まりもと過ごしたクリスマス(2019年)

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2020年12月。重度の尿毒症でもまだ元気に過ごしていた。

まりもと過ごしたクリスマス(2019年)

2018年、マリモと迎えた初めてのクリスマスは、マリモにサンタのコスチュームを買ったり犬用ケーキを買ったり、夫と2人で年甲斐もなく大騒ぎして過ごした。

しかし翌年のクリスマス、マリモと過ごした最後のクリスマスは、我が家は重苦しい雰囲気に包まれていた。

11月の半ばに重度の尿毒症に陥ってしまったマリモは、1ヶ月以上に渡り懸命に通院を受け続けていた。連日の点滴で嘔吐は治まり、表面的には元気を取り戻していたが、あまり検査の数値が良くなることは無い。血液検査の数値は、私にマリモの腎臓の余力はもう殆ど無いということを示していた。

クリクリの目で家の中を歩き回る可愛いマリモの前脚には、絶えず静脈点滴用の管が差し込まれた状態になったままだった。点滴治療を開始した直後には、ある程度数値が落ち着いてきたら点滴から皮下補液に戻す予定だったが、1ヶ月以上も点滴を受け続けているのに数値の改善はほぼ見られない。この状況は獣医さんにも想定外のようだった。

獣医さんの話では、通常は点滴を続けて体内の循環を良くしてあげると、毒素が排出されて数値が改善され、また皮下補液に戻るのが一般的だということだった。しかしマリモの場合、元は健康だった腎臓が機能を低下させたのとは状況が異なる。育つべきだった腎臓が形成不全で育たなかった為、いくら点滴で循環を良くしても思ったような効果は上がらなかった。

静脈点滴はすればするほど静脈が傷ついて硬くなる。今後、必ず訪れる更なる悪化に備えて少しでも静脈を休ませたいが、とても皮下補液に戻せる状態ではない。

2018年のクリスマス、私は内心では自分の手作りご飯をマリモに作りたかっけれど、張り切って犬用ディナーやケーキをリサーチする夫を見て、結局手作りしたいと言い出せず、ママの手作りディナーは来年でいいと思っていた。そして今年は本当にマリモはママの手作りディナーでクリスマスを過ごすことになった。でもそれは、ママが作ってあげたいからということでは無く、もうマリモは市販の療法食かママの手作り療法食以外の食べ物を食べることが出来なくなっていたからだった。

マリモは食欲が落ちてからも手作り療法食は比較的喜んで食べてくれた。今でもたまに、手作りご飯を用意してあげた時の嬉しそうに歩調を弾ませて駆けてくるマリモの姿を思い出すことがある。嬉しい時楽しい時、マリモは脚を弾ませて全身で豊かにその喜びを表現する子だった。仕事の後にマリモを病院に連れて行き、その上療法食を作るのは簡単なことでは無かったが、それでもマリモが嬉しそうに近づいてくる姿を見れば、疲れなど吹き飛んでしまう。

今のマリモの状態から考えると、マリモが来年もクリスマスを迎えられる可能性はほぼゼロに近い。昨年、初めてのクリスマスを祝ったばかりだというのに、恐らく今回が最後のクリスマスになる。マリモはまだ1歳7ヶ月だというのにその命が終わりに近づきつつあることを思うと涙が溢れる。

2019年のクリスマスは平日だった為、我が家ではその前の週末に簡単なクリスマスディナーを食べた。昨年のように豪華なものではなく、ちょっといつもより良い食材を買って作る料理と普通のケーキ、そしてマリモはママの手作り療法食。しかし、恐らくマリモにとって最後のクリスマスになるであろうこの日は、少しでもいいから特別な何かを食べさせてあげたい。私は昨年マリモが大喜びで食べた犬用ケーキを買ってきた。

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点滴が終わって一休みするマリモ

その日、私は午前中にマリモを点滴に通わせ、医師に今マリモは腎不全末期のどの辺りにいるのかを質問した。医師は慎重に言葉を選びながら「個体差があるので一概に言えませんが、末期の中間地点を過ぎた頃だと思います。」と言った。予想していた答えであるにもかかわらず、涙が溢れた。

クリスマスディナーの食卓は前年よりこじんまりとして静かなものになったけれど、とにかく今年はマリモが居てくれる。毎日のように点滴に通っているとはいえ、マリモが無事に2度目のクリスマスを迎えたこと、年末年始も何とか乗り越えられそうなことをお祝いした。

マリモは鮭、ブロッコリー、じゃがいもを軽くすり潰したスープをトッピングした療法食を美味しそうに食べた。そして少し間を空けてから犬用ケーキを切ってあげると、想像通り飛び跳ねて喜び、約半分を一気に食べきった。

お腹がいっぱいになったマリモは、いつものように夫に抱っこをせがみ、膝の上で気持ち良さそうに眠り始めた。

点滴が必須とはいえ、まだ元気も食欲もある子が、あと少ししか生きられないとは信じがたかった。しかし、これから来年にかけて数値はますます悪化し状況は厳しくなるのは目に見えていた。でも最後まで諦めはしない。私はそう長くないであろうマリモといられる時間を大切に過ごし、マリモの苦痛を和らげるためなら何でもしようと改めて決意した。

その日から約半年でマリモは旅立ってしまったので、結局マリモにはママ特製の豪華なクリスマスディナーを作ることは無かった。でも療法食でもマリモは喜んで食べてくれたし、本来食べさせるべきでは無かったけれど、大好きなケーキも大喜びでたべたので、食べさせてあげて良かったと思う。

今年はピリカと迎える初めてのクリスマスだ。ピリカにはママ特製ディナーを用意するけれど、マリモの分も用意してお供えしようと思っている。

マリモはママのご飯食べに帰ってきてくれるだろうか。チーちゃんも連れて帰ってきて欲しい。

 

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