まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

今週のお題「大人になったなと感じるとき」(1)

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2003年、タスマニア島の港

今週のお題「大人になったなと感じるとき」(1)

こんにちは。いつも犬のお話を書いていますが、今日は今週のお題「大人になったなと感じるとき」について書いてみたいと思います。

オーストラリアで出会った人達

私が自分も大人になったのかもしれないと思うのは、職場にいるインターンの留学生たちの面倒をしている時でしょうか。

その昔、私も片道の航空券を手にオーストラリアという異国に渡航しました。オーストラリアでの生活は、山あり谷ありトラブルあり楽しい事もた~くさんある日々でしたが、本当に多くの人に助けれれる日々でした。

その中でも特に印象に残っているのは、オーストラリア到着後、暫く街中のプチホテルで過ごし、ホームステイ先に向かう時に呼んだタクシーの運転手さんです。

プチホテルで呼んでもらったタクシーの運転手さんはパキスタン系の移民で40代ぐらいの優しそうな人で、道中は約30分間ぐらいでしたが、わざと簡単な単語を使ってゆっくり話し「これからきっと楽しいことがたくさんあるよ!」と私を元気づけてくれていました。

そしてホームステイ先に着くと、私がチャイムを鳴らしている間に彼は荷物をトランクから取り出しましたが、しかし何度チャイムを鳴らしても反応がありません。運転手さんはホームステイ先の住人の携帯に電話するよう言ってきましたが、私は家の電話番号は知っていたけれど、個人の携帯電話の番号は知らず、まだオーストラリアに着いたばかりで自分用の携帯電話も持っていませんでした。

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2001年 旅先で見かけた古い教会

運転手さんの提案を私は断った

運転手さんは私に「ホテルに戻って連絡を待とう」と言いました。でも私は決して安くはないタクシー代をもう支払いたくありませんでした。もう一度ホテルに戻って出直すとなると更にもう一往復分のタクシー代が必要になります。その日の夕方に私が着くことは前日に連絡してあったので、恐らく住人は直ぐに帰るだろうと思った私は、運転手さんにここで待つと言いました。

しかし、運転手さんはなかなかその場を立ち去りません。9月のオーストラリアはまだまだ寒く、特に日が落ちると一気に寒くなります。彼は「もうすぐ寒くなるし、日が落ちれば動けない。英語もろくに話せず電話も持たない君はどうやって助けを呼ぶ気だ。」と言って、私にホテルに戻るよう説得を始めました。

しかし、私は昨日ちゃんと連絡しているのだから住人がそれを忘れているとは思いませんでした。時間だって16時~18時の間と言ってあったこともあり、私はあくまでここで待つと言い張りました。

彼の提案に全く乗ろうとしない私を見て、彼は説得をあきらめてその場を立ち去ることにしました。しかし日が落ちて辺りが暗くなっても、ホームステイ先の住人は帰らず、私は玄関先で寒さに耐えることに。やはり運転手さんの言う通り一回戻って出直せばよかったと泣きたい気分でしたが、後悔しても既に時遅し。タクシー代をケチったことが悔やまれました。

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2000年、ロッドネスト島のビーチ

戻ってきた運転手さん

しかし私が暗闇で凍えながら途方に暮れていると、ふいにタクシーが玄関先に現れ、さっき立ち去ったはずの運転手さんが下りてきました。彼は数日前にオーストラリアにやってきたばかりの、電話さえ持たない私を放っておけなかったのです。彼は「戻ってきて良かった」と言い、とにかく暖かい車の中へ入るよう促して、私のスーツケースをトランクに積みました。

彼は自分の携帯電話を取り出して、私が泊まっていたプチホテルに私を連れて戻ると電話しましたが、既に満室で私は戻ることができません。暫く思案した後で彼は、私が通う予定の語学学校の留学生受け入れ窓口に電話を入れ、私は語学学校の留学生受け入れ担当者の家でホームステイ先住人の帰宅を待つことになりました。

運転手さんは私を学校まで送ると、立ち去る前に「Your friend」と余白に書き足した名刺を渡し、何か困ったことがあれば迷わず連絡するように、決して自分一人で何とかできると簡単に判断しないようにと言って笑顔で帰って行きました。

結局、ホームステイ先の住人が戻ったのは夜の21時でした。彼女は私の到着を明日だと勘違いしていたそうです。あの時、運転手さんが戻ってきてくれなければ私は21時まで寒い屋外で待つことになったのかと思うと、運転手さんの優しさに涙が出る思いでした。

この一件は、何でも自分で対応できる一端の大人のつもりでいた私に、異国では何もできない無力な子供同然なのだということを教えてくれました。

長くなるので、今週のお題「大人になったなと感じるとき」(2)に続きます。

 

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