まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

Vickyちゃんの旅立ち(2)腎不全末期の肺水腫

ご家族の愛情に包まれて、いつも幸せな表情だったVickyちゃん。
見ている人も幸せにしてくれる素敵な笑顔の持ち主でした。
(Vickyちゃんインスタグラムより)

Vickyちゃんの旅立ち(2)腎不全末期の肺水腫

こんにちは。

今日は先日の記事の続きです。

marimotan.hatenablog.com

最期の時、2匹の状況を分けたもの

同じ先天性疾患を持って生まれ、ほぼ同じ月齢で旅立っていった2匹ですが、その旅立ちの風景は対照的な物でした。

マリモの最期は呼吸困難に陥り、丸一日以上苦しんだ末に痙攣を起こしての絶命でした。この時の呼吸困難の原因は確定しないままでしたが、私はマリモが肺水腫を起こしていたと考えています。

マリモの呼吸が急に乱れ始めたのは旅立つ1日前の5月18日、午後2時ごろのことでした。その時私は近所まで買い物に行っていたのですが、出かけるときには普通に呼吸をしていたマリモが帰って来たら苦しそうに肩で息をしており、私は急いで病院に電話を入れました。マリモの呼吸困難が始まってから絶命までについては下記の記事に詳細を書いています。

marimotan.hatenablog.com

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本当に突然に始まった呼吸困難。当時私は肺水腫を疑ったものの大した知識も持ち合わせておらず、肺水腫の可能性を主張することはしなかったため、診断は確定しないままにマリモは旅立ってしまいました。しかしその後多くの腎不全末期の症状に関する記事を読みつつ改めて状況を振り返ってみると、朝に静脈点滴を受けたマリモの身体は、その点滴の水分を十分に代謝することができずに肺水腫を起こしていたと考えてほぼ間違いないのではと思うようになりました。

ただ、マリモの腎不全治療に関して言えば、静脈点滴は抜群の効果がありました。マリモは1歳半の時に重度の尿毒症を発症して以来、旅立つ前日まで継続的に静脈点滴を受け続けていましたが、何度も危険な状態に陥ったにも関わらず復活できていたのは静脈点滴のおかげです。マリモも状態が落ち着いた時に何度か皮下補液に戻そうと試みましたが、毎回急激に悪化してしまい、いつも慌てて点滴に戻し、何とか状態を安定させていました。

とはいえ今思い返してみれば、その効果が絶大だったこともあり私の思考は静脈点滴に偏りすぎていたように思います。ちょうど腎不全の犬を看取った飼い主さんのブログ記事を読んで、腎不全末期の犬が点滴の水分を代謝しきれずに肺水腫を起こすことがあると知ってはいたものの、苦しそうなマリモを見るまで、マリモが肺水腫になるかもしれないとは考えていませんでした。

なるべく苦痛を減らせるようにと懸命に続けてきた治療でしたが、結果的にマリモには最後の最後にとても苦しい思いをさせてしまいました。しかしそれとは対照的にヴィッキーちゃんは眠るように安らかな最期を迎えています。

豊かな自然に囲まれて、天真爛漫に全身で犬生を楽しんでいたVickyちゃん。
最期は皮下補液を止めたヴィッキーちゃん

7月の終わりにガクッと体調が悪化したヴィッキーちゃんは、皮下補液を受けていましたが、だんだんと皮下補液さえ十分に代謝できなくなっていきます。ここで私と大きく違ったのは、ヴィッキーちゃんのママさんは肺水腫についても十分に注意を払っていたため、皮下補液をするとヴィッキーちゃんの息が荒くなることを見逃さなかったことです。それに朝に行った補液が夜になっても残っていることにも気づいていました。そして8月に入り、吐き気止めのセレニア注射も効かず嘔吐を繰り返すヴィッキーちゃんに対して、ママさんは肺水腫を避けるために静脈点滴は受けず、皮下補液も止めることにしました。

腎不全末期の犬の皮下補液を止めるのはかなり勇気が要ることだったと思います。しかしこのママさんの判断は正しく、皮下補液を止めたおかげて結果的にヴィッキーちゃんは安らかに旅立って行けたのだろうと思います。

まだマリモが生きていた頃に読んだ人間の老衰に関する記事によれば、人は最後には脱水して干からびるように逝くのが一番苦しまないとのことでした。しかし普段老人を診察していない医師が老人を診察してしまうと、脱水を起こしているからと不要な点滴をしてしまい、結果として肺水腫を起こし、余計な苦しみを与えてしまうことがあるのだそうです。

それを今回のマリモとヴィッキーちゃんに当てはめてみれば、私がとにかくマリモに点滴を受けさせることばかり考えて、肺水腫に対してあまり注意を払っていなかったことが、マリモに不要な苦しみを与えてしまった一因であることはほぼ間違いないと思います。

お庭を散策する赤ちゃん時代のVickyちゃん。
今は全ての苦しさから解放されて、大好きなお庭に眠っています。

あの時私がもっとマリモの息づかいや体のむくみ具合に注意を払い、摂取した水分がしっかり代謝されているかを確認していれば、そして一切の投薬を止めたように、然るべき時点で点滴も止めていたら、もしかしたらマリモもヴィッキーちゃんのように安らかな最期を迎えられたかも知れないと思うと悔やんでも悔やみきれない思いです。だからこそ、今、腎不全の犬と暮らしている飼い主さんには腎不全末期の肺水腫には十分に注意を払ってもらいたいと思います。

お庭に埋葬されたヴィッキーちゃん

転勤族で賃貸暮らしの我が家と違い、家には広いお庭があるヴィッキーちゃんは、楽しく過ごした家のお庭に埋葬されました。これからもヴィッキーちゃんは大好きなご家族と一緒に過ごし、お庭の木となり草となりご家族を見守っていくことでしょう。いくら最後は安らかだったとはいえ、吐き気や下痢に苦しめられていたでしょうから、今は全ての苦しみを忘れてゆっくり眠って欲しいと思います。

公園でご近所のワンちゃんと遊ぶマリモ。虹の橋でVickyちゃんに会えたら、2匹でこんな風に遊んでいて欲しいです。
虹の橋でマリモに出会えたら

今はまだご家族の元にとどまっているであろうヴィッキーちゃんの魂も、やがて虹の橋に旅立ちます。時は違えど同じ疾患を持って生まれ、ほぼ同じ月齢で旅立った2匹ですから、もし虹の橋で巡り会えたなら一緒に楽しく遊んでいてほしいと思います。ピリカと違ってあまりお友達が多くなかったマリモですが、近所のゴールデンレトリバーちゃんとは仲良く一緒に走ることもありました。僅か2歳のマリモですが、虹の橋生活では先輩になるのだから、虹の橋初心者のヴィッキーちゃんの面倒をしっかり見てあげないといけませんね。

そして今生では短い生涯を精一杯生き抜いた2匹がいつか生まれ変わるその時には、今度こそ必ず健康な体に生まれてきてほしいと切に切に願っています。

 

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