まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

遠距離介護diary:義父の電話(1)

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義父の電話(1)

こんにちは。

いきなりですが、今、札幌の義実家に来ています。今回も夫は来れず私1人です。もともと来月に夫と2人で義実家を訪ねるつもりでいましたが、急遽私だけ飛んできました。

不自然な電話

19日の夜、普段私に電話などかけてこない義父から電話がありました。何事かと思いましたが、「〇〇(夫の名前)は元気か?」などと話していて特に用事も無さそうな様子。たまには人と話したいのかと思いましたが、それにしても、なんとなくいつもと口調が違っていました。

そして10分ほどで電話を切ったのですが、また30分もしないうちに義父から電話が入りました。しかし、「どうしました?」と聞いても「いや、何でもない。」と繰り返すだけで何も話してはくれません。何かあったのではと思いつつも、とりあえず来月に2人で行くと言ってその日は電話を切りました。

20日の午後

前日の電話が不自然だったので義父のことが気になっていたところ、また義父から電話がありました。しかし、何かあったのかと聞いても相変わらず「いや、何も。」と言うだけなのですが、何故か電話を切ろうとしません。もう一度、来月には夫と2人で行くからと念を押して電話を切りましたが、その後も私が買い物に出ている間に2回も電話が着信していました。

やはりおかしいと思い急いで折り返すと、義父は明らかに混乱し「わけがわからないんだよ。無いんだよ、色々なものが。財布とか、みんな無いんだよ。」と堰を切ったように言い始めました。

私はとりあえずマンションの管理人さんに電話し、義父の様子を見に行ってもらいましたが、義父は「空き巣に入られたみたいだ。財布も通帳も無くなった」と言って、かなり混乱しているということです。

義父のマンションは管理人常駐でオートロック付きですから空き巣が入ったとは思えません。管理人さんもここ数日、住人と宅配以外の人の出入りは無かったと言っていますが、義父は納得しませんでした。

初めて聞く義父の混乱した声に、私は義実家に行くことを決めて夫に連絡しました。しかし問題はピリカです。私は急いでいつものトレーニング教室を始め、何件か預け先を当たり始めました。すると幸いなことにいつもお世話になっているトリミングサロンのペットホテルに空きがあり、その日の夜からピリカを預けることにして、翌日の午前中に着ける便で私は急遽札幌に向かうことになりました。

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長かった21日

お昼ごろに義実家のマンションに着くと、管理人さんが私を待っていました。昨日、義父は誰も来ていないという管理人さんの言葉に納得せず、監視カメラを見せろと言い出したそうです。管理人さんが「お嫁さんが来たら話しましょう。」と義父を宥めてくれたのですが、かなり混乱している様子だったそう。お嫁さんが直ぐに来てくれて良かったと、安堵した様子でした。

インターホンを鳴らすと、義父は「Marimoちゃんか!」と喜んでオートロックを開けてくれました。そしてエレベーターを降りると、義父はすでにドアを開けて待っており、その表情から何度も掛けてきた電話は義父からのSOSだったということ、義父は私に来て欲しかったのだということが伝わってきました。

義父は「もう、わけが分からないんだ。お金もカードも通帳も無い。誰かが来て持って行ったんだ。何もないんだ。」と、かなり狼狽えています。私はとりあえず家に入り義父と一緒に部屋の中を探してみましたが、やはりお財布も通帳もありません。そこで急いで銀行に連絡してカードと通帳を止め、警察に遺失物の届出を済ますと義父はやっと少し安心して落ち着きを取り戻したようでした。

病院とボイラー修理と・・・

しかし、問題はこれだけではありませんでした。義実家はボイラーが故障して暖房が使えなくなっていたのです。しかも義父がセーターの袖を捲った時に気がついたのですが、義父の右手首は赤く腫れ、膝が痛いようで歩き方が少し変です。恐らく転倒したのでしょう。でも義父は転んだ覚えは無いと言います。

私は管理人さんにボイラーの修理業者に連絡してもらうようお願いすると、義父を病院に連れて行き、義父の介護保険申請をしたい旨を病院に伝えてそれに必要な検査も行ってもらうよう頼みました。そして幸いにもその日のうちに必要な検査は全て受けられることになり、私は義父の検査に付き添う合間にボイラー修理の手配をしました。

一体この数日で何が起きたのかは分かりません。ただ、今月は年金の支給月だったことを考えれば、生活費を引き出しに行った義父がどこかで転倒し、その時にお財布や通帳を落としたのではないかと思います。

警察に落し物としては届いていませんが、家の中は私がありそうな場所を徹底して探したので、やはり外出して落とした可能性が高いでしょう。しかし、義父はその辺りの記憶が抜け落ちており、空き巣にお財布や通帳を盗られたと思い込んだようです。

どんなに不安だったことか

朝晩は寒くなった札幌の暖房が壊れた家で、突然お財布や通帳が無くなった義父はどんなに心細かったことでしょうか。手元に現金が無かったので買えなかったのか、食糧も殆どありませんでした。

この日は義父を病院から義実家に送った後、私は区役所に介護保険申請の書類を出したり、ボイラー業者に立ち寄ったりしていたので簡単な夕食しか用意できませんでしたが、それでも義父は喜んで食べてくれました。

私が着いた時に比べるとだいぶ落ち着きをとりもどし、美味しそうに食事をする義父を見て、ピリカには悪いことをしたけれど、急いで駆けつけて良かったと思いました。

次回に続きます。