まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

まりも物語(番外編):腎不全の子犬と暮らす ~治療法の種類(2)~

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2019年10月頃のマリモ。元気に過ごした最後の日々。

腎不全の子犬と暮らす ~治療法の種類(2)~

こんにちは。

今日は前回の記事の続きです。

皮下補液と静脈点滴

マリモは2019年11月に重篤な尿毒症になり、それまで続けていた皮下補液から静脈点滴に切り替えました。また、それまでは基本的に週2回の通院でしたが、尿毒症になって最初の10日間は毎日点滴に通い、当初の症状が落ち着いてからは、週3〜4回の頻度で点滴を受けていました。

皮下補液と静脈点滴を比較すると、効果は比較にならないくらい静脈点滴の方が高かったです。やはり直接血管に点滴液が入るので効果は抜群です。しかし、静脈点滴をする場合は静脈に留置針を刺すことになります。マリモの場合は一週間毎に留置針を取り替えていましたが、取り替えるために針を抜く時以外は、絶えず前脚に留置針が刺さっている状態になりました。

そして大きな問題なのが、静脈点滴で留置針を刺し続けると次第に静脈が固くなり針が刺せなくなっていくことです。通常の腎不全ではしばらく静脈点滴を続けると容態も血液検査の数値も改善されてくるので、静脈をやすませるべく皮下補液に戻すのですが、マリモの場合は落ち着いてきたので皮下補液に戻してみると、僅か数日、長くとも2週間程度であっという間に再び悪化してしまい、結局静脈点滴を打ち続けることになりました。

ですので、もともとちゃんと機能してきた腎臓が弱って機能が低下してきたのと異なり、先天性で最初から腎臓がまともに機能していない場合、必ずしも回復はしないようです。医師も「通常はこんなに静脈点滴を打ち続ける前に安定するのですが、先天性はそうもいかないようですね。」と表情を曇らせていました。

しかも静脈点滴は時間もかかります。皮下補液であれば15分程度で終わりますが、点滴では30分〜1時間かかります。そのため静脈点滴の場合は毎回1時間半ぐらいは病院にいたと思いますし、仕事の日でも少なくとも診療時間終了の1時間前には病院に入らなければなりませんから、駅から家まで走って帰る日も少なくありませんでした。

それでも最も効果的なのは静脈点滴 

しかし、腎不全末期差し掛かった時に最も効果的なのはやはり静脈点滴です。犬の透析を扱う施設もありますが、施設の数は少なく、1回につき費用が2〜3万円、時間も約半日かかる上に毎週受けなければならないため、一般的な飼い主にとってはあまり現実的な選択肢にはなり得ないのではと思います。少なくとも我が家の場合は初めから選択肢には入りませんでした。マリモは何回も大きく体調を崩し、血液検査の数値もかなり悪い状態が続きましたが、それでも毎日1時間程度の点滴を続けると何とか持ち直すことができたこともあり、私の中ではやはり点滴に勝る効果的な対処法はありません。

腎不全末期(2020年2月~)

2020年に入ると、マリモの腎不全は完全に末期に入りました。2月には少し容態が落ち着いて見えたので、静脈を休ませようと3ヶ月ぶりに皮下補液に戻したところ、約2週間で絶食状態に陥ってしまい再び連日の静脈点滴生活に戻ることに。他にも下痢や貧血などの症状も出るようになりました。

<2020年2月28日の血液検査>

BUN:130以上

CERA:7.3

HCT(貧血の指標)29.7(標準値:37~55)

また、絶食に陥ったり療法食主体の食事を続けることも難しくなってきました。そこで医師と相談の上、治療法を少し変更しました。

<通院>

・静脈点滴(1時間)原則として週4回→嘔吐したり体調が悪い時は毎日

・温熱療法(下痢気味の時)

・オゾン腸注(週2回程度)

<投薬>

・クレメジン(毒素吸着剤)朝晩1.5カプセル(1日3カプセル)

漢方薬 源気(元気の養生)1日1錠、

     西伯利亜(肝臓・腎臓の養生)朝晩1錠(1日2錠)

・下痢止め

・レンジアレン(リンの吸着剤)療法食を食べてくれない時

www.elancopet.jp

レンジアレンはいつも飲ませていたわけでは無く、療法食を食べない時に状況に応じて私の判断で使用していました。

また、この頃になると体調はかなり不安定で、ちょっと安定してきたと油断すると大きく体調を崩すことになりました。

marimotan.hatenablog.com

マリモはあまり下痢を起こさない子でしたが、末期になると何度か酷い下痢も起こしました。特に3月になってからの下痢では病院で処方された下痢止めを毎日飲ませるもあまり効果が無く、医師も腎不全の下痢は止めるのが難しいと言いました。しかしそんな下痢にも効果を発揮したのが温熱療法です。

marimotan.hatenablog.com

マリモが受けていたのはキセノン光を使った治療で、身体の深い部分まで届く光線が広範囲の血管を広げて血流を良くしてくれるものです。激しい下痢が続いたマリモでしたが、下痢止めの種類を変えて温熱療法を取り入れたところ、下痢は次第に快方に向かってゆき、約1週間程度で治まりました。

この時、種類を変えた下痢止めと温熱療法のどちらが効いたのかは判断できませんが、マリモの闘病生活全般を通して考えると、身体の深部まで温めてくれる温熱療法は効果的だったと思っています。マリモに腹巻をさせるようになった時にも思ったのですが、やはり身体を冷やさない(特に冬場)はとても大切で、しっかり保温してあげると体調が安定してきます。f:id:Marimotan:20210327112437j:plain

お腹はしっかり暖めることが大切。

温熱療法とオゾン療法

この二つの療法は、マリモが大きく体調を崩した時には追加で施術をお願いしていましたが、あくまで点滴が主体で温熱療法やオゾン療法を単体で試したことが無いので、その効果を正確に検証することはできません。でもあくまで私の主観ですが、温熱療法もオゾン療法も足した方がマリモの体調は良かったように思います。

特に前述したように腎不全末期の下痢には、温熱療法は確かに効いていたと思います。

マリモが治療を受けたのは近所の動物病院ですが、より詳細な説明が乗っている他の動物病院のリンクをご参考に貼っておきます。

bell-hos.com

www.green-dog.com

ホルモン注射(貧血対策)

血液を作るホルモンは腎臓から分泌されるため、腎不全の子は貧血になりやすいそうです。しかしマリモの場合は腎臓の数値が悪くなってきても血液は作られていて、貧血は進みませんでした。しかしさすがに末期の入ってくると急激に貧血が進み、医師からは造血ホルモンの注射を提案されました。

しかし私はホルモン注射はしないことにしました。理由としてはこの注射は何回か打てば回復するといったものではなく、継続して打ち続けなければならなかったのですが、費用が1回につき2,500円かかり、当時で既に1カ月の医療費が16万円を超えていた我が家では追加するのは経済的に苦しかったということと、私自身が過去にホルモン剤を投与する治療を受けた際に大きく体調を崩し、完全に回復するまで1年以上かかった経験があり、ホルモン剤の投与には抵抗があったからです。

marimotan.hatenablog.com

 ですので、マリモは受けていないため効果は分かりませんが、一応こういう方法もあるということで紹介しておきます。

良くなかったこと

ちかさんからの質問には、あまり効果が無かった療法についても教えてほしいとありましたが、私自身はあまり効果が無かったと言える療法はありません。あえて言うなら漢方は直ぐに効いてくるものではないので、はっきりとした効果はありませんでした。しかし私自身の経験から漢方薬の力は信じているので無駄だったとは思っていません。

そして良くなかった事としては、私がとにかく動揺してばかりで泣いてばかりいたことだったと思います。病院でも医師に何度も注意されました。飼い主が動揺するとワンちゃんはそれを敏感に感じ取り、不安になります。腎不全はもちろん他の病気でもストレスは大敵です。飼い主の不安がワンコに伝わり、ワンコのストレスになってしまうのは本当に良くありません。しかしこの点に関しては私は本当に本当にダメ飼い主で、完全に飼い主失格でした。

信頼できる獣医さんを探して欲しい

また、治療法とは違いますが信頼できる獣医さん、自分にあった獣医さんを探すことはとても大切だと思います。マリモがお世話になった先生はまだお若いですが大変熱心な方で、キセノン光による温熱療法やオゾン療法、癌の子には超高濃度ビタミンC点滴療法なども積極的に取り入れいますし、漢方にも精通した方です。そしてマリモが連日の点滴が必要になった時には休診日でも点滴をしてくれたり、診療時間外でも留守番電話に伝言を残すとほぼ確実に折り返してくれました。

説明も丁寧で話しやすく、医療費が嵩んできた時には費用抑制の相談などもできる先生だったので、私は本当に助かりました。

実はマリモの腎不全発覚当初は他の獣医さんにセカンドオピニオンを求めたこともありましたが、やはりこの先生ほど丁寧に診察し、頼りにできる医師には出会いませんでした。こうしてたまたますぐ近所に良い動物病院があったことは幸運としか言いようがありませんが、腎不全は長期間にわたり継続して通院することになります。途中、心が折れそうになることもあると思うので、色々と相談できて信頼できる医師に掛かれるか否かは大変重要だと思います。

どうか、良い獣医さんに巡り合ってほしいと思います。

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