まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」との日々 ~腎不全と闘った642日間の記録~

まりも物語:10、腎不全発覚(1)

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自力でソファーに登れるようになり、ソファーを占領するマリモ。

10、腎不全発覚(1)

マリモの避妊手術は、2019年1月29日になった。マリモは29日から一晩の予定で入院し、30日の夕方にお迎えに行くことになっていた。トレーナーさんに検査を受けるよう忠告を受けても、マリモの元気な姿を見ていた私は、あまり深刻な病があるとは思っていなかった。

確かにここまで食欲にムラがあり、お水をたくさん飲むのだから、何か悪いところがあるのかもしれない。だが何か見つかれば治療すればいいだけだ。怖がることは無い。

むしろ29日は私にとって、マリモを飼い始めてから初めての自由に使える日だったこともあり、どんな風に過ごそうかとワクワクしていた。そしてマリモも大きくなってきたし、避妊手術が済んだらマリモを連れて初の旅行に行きたいと、色々と計画を練り始めていた。

この頃になると、食事の問題やお漏らしにも慣れてきてしまっていて、食が細いながらも立派な体格に育ったし、避妊手術が終われば、私のマリモ育てもとりあえず一区切りするとまで思っていた。

 

腎不全発覚の日

2019年1月29日、私はマリモを朝9時に病院に預けて、久々の一人の時間を楽しもうと以前勤めていた大手町へ向かった。幸い天気も良くお出かけ日和だ。マリモが我が家にやってきてから約5か月、初めて飼う仔犬の世話にてんやわんやだった私は、久々に時間を気にせずに済む外出に心を弾ませていた。

お気に入りのカフェでモーニングセットを注文し、持参した本を広げて本当に久々の朝の優雅なティータイムを過ごしていると、テーブルに置いたスマホに病院から電話が入った。電話に出ると院長先生が深刻な声で避妊手術の中止を告げるた。何事かと理由を聞くと、マリモの腎臓の数値に大きな異常があり、到底手術はできないと言う。医師にこれから詳細な検査を行うので夕方マリモを迎えに来るように言われ、気が動転したまま電話を切った。

帰りの電車の中、私はスマホを握りしめて犬の腎臓の病気について調べた。そして犬の腎不全について初めて知った。すべては老犬の腎不全に関する記事だったけれど、どれを見ても余命は2年程度、回復は見込めず進行を遅らせる以外に方法はないと書いてある。まだ1歳にもならないマリモの余命が2年?

私は幼犬の腎臓の病気を必死に調べたが何も見つからなかった。いくつも腎不全の記事を読んでは、マリモは幼犬だし、腎不全ではないだろうと思いつつも、不安でいっぱいになっていた。

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生後8か月頃。玩具での一人遊びが上手になってきた。

医師からの説明

午後4時の動物病院が開く時間ぴったりにマリモを迎えに行くと、直ぐに医師からの説明があった。まず、血液検査の結果を見せられ、腎臓に関連する数値に大きな異常があることを説明された。続いて超音波検査の画像を見ると、マリモの体には本来あるべき場所に腎臓の影が無かった。

通常の犬の超音波画像では、肋骨が途切れたあたりに小さなインゲン豆のような腎臓がある。しかしマリモの体にはその形の臓器が無い。医師の説明を受けながら注意深く画像を見ていくと、本来インゲン豆の形をした臓器であるはずの、小さな変形した何かが見えた。それが重度形成不全のマリモの腎臓だった。

血液検査の数値は第1期(初期)から第4期(末期)まである中の、既に第3期の始まりぐらいの数値になっていた。マリモのような先天的な形成不全の場合、本来あった臓器が弱ってきたのではなく、治療すべき臓器は初めから機能が著しく低い。生後9か月にして既に重症の腎不全だ。マリモがお水をたくさん飲むのも食欲にムラがあったのも、すべては腎不全からくる脱水と吐き気の為だったのだ。

<血液検査> 2019年1月29日

BUN 92

CRE 2.7 

<犬の腎不全>

ステージ

CRE値

症状

第1期

>1.4mg/dl

なし

第2期

1.4~2.1mg/dl

なし、※若しくは軽度の多飲多尿

第3期

2.1~5.0mg/dl

多飲多尿、食欲不振、体重減少、嘔吐、脱水など

第4期

5.0~mg/dl

尿毒症、臨床症状(多飲多尿、食欲不振、体重減少、嘔吐、脱水など)

 医師の説明によると腎不全の平均的な余命は1~2年、ただマリモの場合は通常の腎不全とは違い、徐々に進行するのではなく初めから重症なのであること、しかし重症であるにも関わらず、腎不全に体を順応させながら順調に成長していることなど、通常とは異なる条件が多く、正直なところ医師でも予想がつかないという。ただ、腎不全は回復することはなく、進行を遅らせることはできても止めることはできず、マリモの生涯は短い物になってしまうだろうとのことだった。

医師の説明を聞き終わる前に私は泣きだしていた。マリモはまだ生後9か月だ。余命があと1~2年なんて残酷すぎる。短すぎる。小型犬の寿命はだいたい15年前後だ。もちろん途中で病気になる子もいることは解っているが、私はマリモとこの先10年は一緒に暮らせると思っていた。

毎年1回は一緒にどこかに旅行したかったし、義父の暮らす北海道にも連れていきたかった。何より、まだマリモとの生活は始まったばかりとはいえ、マリモは既にかけがえのない家族の一員になっていて、近い将来にマリモが居なくなってしまうなど考えられなかった。

 治療法としては、脱水を防ぎ体内の循環を良くするために皮下補液は欠かせないということだった。それに加え、二種類の漢方薬と毒素を吸着する炭の薬を処方された。この二つの薬は一緒に飲ませることはできず、漢方と吸着剤は最低でも1時間は時間を空けて飲ませる必要があった。

そして、とりあえず翌日から一週間毎日皮下補液に通い、もう一度腎臓に関する数値の検査をすることを勧められた。腎臓にある程度の余力がある場合は数値が大幅に改善されることもあるのだという。私は数値改善を願いつつ、1週間毎日マリモを病院に通わせることにした。

 

 ※まりもの名前は本来ひらがな表記ですが、文中では読みやすいようにカタカナにしております。