まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

まりも物語:26、奇跡の回復 ~犬の腎不全末期・絶食からの回復~

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3月3日、10日以上続いた絶食から奇跡の復活を迎えた瞬間

26、奇跡の回復 ~犬の腎不全末期・絶食からの回復~

マリモの絶食状態は3月になっても続き、体重は3kgちょうどまで落ちた。連日の通院も空しく、マリモが回復する様子はない。それでも私は少しでもマリモの苦痛が和らぐのであればと連日点滴に通った。

3月でマリモは1歳10か月。生後9か月目から通院ばかりの毎日で、特に11月からは河川敷やドッグランにも、大好きなトレーニング教室にも行くことができず、週3~4日の通院と毎日近所の公園を散歩する以外は特に何もない日々だった。

生まれながらに重篤な疾患を持ち、ここまで懸命に通院に耐えてきたのに、僅か1歳10か月で生命の危機にあるマリモを見ていると、身体の内側から骨を削られるように胸が痛む。

もうすぐ暖かい春が来る。春が終わればマリモの2歳のお誕生日が来る。マリモの腎臓形成不全が発覚し、平均的な余命は1~2年と聞いた時から、私はどんなに短くとも2年は生きてほしいと切に願い、必死の思いで通院しマリモを育ててきた。小型犬の平均寿命は15歳前後だ。2年でも短すぎるのに、今マリモは衰弱し、いつ何があってもおかしくない状態に陥ってしまっている。

殆どベッドで眠っているマリモがたまに抱っこをせがんでくると、私は泣きながらマリモを膝にのせて抱っこしていた。マリモは自分の苦しさの理由も余命も悟ることは無い。ただ懸命に耐えているしかない。

余命を伸ばすことは難しくても何とか苦痛を和らげてあげたいと思っても、点滴に通わせること以外に何もできない。少しでも何か食べさせてあげたいと思っても、もう何をどんなに工夫しても食べてはくれなかった。私は時間の許す限り、家にいるときはマリモを抱っこしていた。

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絶食状態で衰弱したマリモ。夫が家にいるときは絶えず抱っこをせがんだ。

3月3日、奇跡の復活の始まり

3月3日になりマリモは2回目のお雛祭りを迎えた。相変わらず何も食べることができず、ただ横になっている。クレメジンだけはごく少量のヨーグルトに和えて、口の中に塗り付けるようにして飲ませていた。

午前中の通院時に、私は医師にマリモが2歳を迎えられる確率はどれぐらいあるのかと尋ねた。医師は暫く考えた後「個体差が大きいことなので何とも言えないですが」と前置きし、このままの状況が続けば桜の咲くころまでは持たない可能性が高いと思います。と苦しそうに告げた。

昼近くになって実家の母がマリモの様子を見に訪ねてきた。母はマリモを抱っこしたいようだったが、マリモは体調が悪くなってからは私と主人以外の人に抱っこされるのを嫌がるようになった。

今日も母が手を差し伸べると顔を背けるので、母には事情を説明して抱っこは諦めてもらった。私はマリモが横たわっているベッドの脇に座り、母に「マリモはもう2度目の桜を見ることは無いのかもしれない。」と話した。今年の関東の桜の開花予想は3月17日だ。あと約2週間のうちにマリモとのお別れが来るのかもしれない。目の前が涙で曇った。

毎日、食べてくれないとはわかっていても、私はマリモの食事を用意して、1~2時間はそのまま出しておくようにしていた。でもこれまでマリモが食事類に興味を示すことは無かった。

しかしこの日、マリモは私が口元に運んだチーズに微かに反応し、ベッドの中で体を起こした。でもやはり食べない。私はもう少し臭いが無い物をあげてみようと犬用のボーロを出してみた。するといつものようにクンクンと臭いを嗅いだ後、マリモはボーロを口に入れてカリカリと食べ始めた。

私は嬉しくて大泣きしながらマリモにボーロを食べさせつつ、動画を撮って夫にも送った。マリモはお昼に8粒ほどボーロを食べて、夜もベッドから起きてきてボーロと炊き立ての白米を食べた。そしてここから医師も首を傾げるマリモの奇跡の復活が始まった。

※まりもの名前は本来ひらがな表記ですが、文中では読みやすいようにカタカナにしてあります。

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