30、マリモ、2回目の誕生日を迎える ～犬の腎不全末期・奇跡的に迎えた2歳の誕生日～
3月に奇跡的な回復を見せ、4月も比較的安定し体調で乗り切ったマリモは、5月2日に無事に2回目のお誕生日を迎えた。マリモの腎臓形成不全が発覚し、治療が始まった時から2歳の誕生日を迎えることは私の悲願だった。生後9か月で症状が発覚した際には既に第3期に入っていたことや、2月下旬の衰弱を考えると、マリモが無事に2歳を迎えられたことはかなり奇跡的なことだった。
祝！マリモ2歳！
2日の朝は前年のマリモの誕生日にもそうしたように、私は5時過ぎに起きて、既に目を覚ましていたマリモを膝に抱き上げた。昨年の誕生日には4.2kgあったマリモは、今では3.2kgまで痩せて一回り小さくなってしまっている。背中を撫でると手のひらにはゴツゴツと骨があたる。顔を近づけると、マリモの口からは何かが腐っているような、単なる尿毒症とは違う嫌な臭いがしていた。胃酸が逆流してきたのかもと思い、マリモの歯を磨いてみたけれど、臭いはもっともっと体の奥深いところからきているようで全く効果は無かった。
口の中を見てみると以前にも増して色が白い。また貧血が進んだのだろう。前回の血液検査を最後に、私はもうマリモに血液検査は受けさせていなかった。前回の数値でもうマリモの状態が、いつ何が起きてもおかしくないほどに悪化しており、末期の最後の地点に近づいていることは十分に分かった。
もうこれ以上の検査はあまり意味が無いだろう。悪化の度合いを確認するだけの検査でマリモの体に針を刺したくない。何はともあれ、マリモは重篤な腎不全にもかかわらず2歳を迎えた。2年間を無事に生き抜いたのだ。こんなに嬉しいことは無い。
誕生日の食卓
かなり貧血が進んでいるとはいえ、マリモはまだ食欲もあり公園を散歩する元気もあった。お昼頃にマリモをいつもの公園にお散歩連れて行ったあと、マリモをキャリーバッグに入れて近所のイタリアンレストランへテイクアウトの料理を買いに向かった。
かつては毎朝のお散歩コースだった道のりを、マリモはキャリーバッグの中からのんびりと眺めていた。去年は軽快な足取りで新緑が眩しい道を爽やかな初夏の風を感じながら歩いていたけれど、もうあの跳ねるように楽しそうに歩く姿を見ることはない。
今日はマリモのお誕生日ということで、我が家は少し豪華な夕食にする予定だ。まずは人間用にイタリアンレストランでフィッシュアンドチップスやカルパッチョ、その他前菜類を購入し、マリモ用は私がクッキーを焼いたのと、夕方にオーガニック食品を扱うスーパーでカボチャのシフォンケーキを買った。
夕方、早めに夕食の支度をしてマリモに食事をさせた。マリモはクッキーを美味しそうに1枚半ぐらい食べて、シフォンケーキも1/4カットのさらに1/3ぐらいの量を平らげた。そして私達が食事をはじめると、まるでまだ何も食べていないかのような顔で、私の足元にやってきた。
鶏肉を食べた！
試しに前菜の鶏肉とパセリのレモンマリネから鶏肉を取り出し、水で調味料を洗い流してあげてみる。すると普段はあまり肉類を食べなかったマリモが喜んで食べた。私は夫が食べる分の鶏肉を残して鶏肉を抜き出し、水洗いしてマリモに食べさせた。
マリモはびっくりするほど美味しそうに鶏肉を食べた。このところずっと肉類を食べず、たんぱく源が乳製品しかないのが心配だったけれど、この様子ならサラダチキンは食べるかもしれない。明日、鶏胸肉を買いに行って早速作ってみよう。
しっかりタンパク質が取れればもっと元気になる可能性もある。3月にあれほど重篤な状態から回復した子だ。獣医さんをもっと驚かせる回復を見せるかもしれない。もっともっと私も獣医さんも驚かせて欲しい。何て凄い生命力なのだろう。手のひらから夢中で鶏肉を啄むマリモを見ると、目頭が熱くる。生まれつきの腎不全に負けることなく2歳を迎えたマリモ、その生命力の底力に私は感涙した。
もしかしたら、マリモは私の2歳までは何としても生きて欲しいという願いを感じ取っていたのかも知れない。だからあの余命宣告を受けた3月に、力を振り絞って奇跡の復活を遂げてくれたのではないだろうか。マリモ、2歳おめでとう、そしてありがとう。
※まりもの名前は本来ひらがな表記ですが、文中では読みやすいようにカタカナにしてあります。
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