まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

まりも物語:31、再びの悪化 ~犬の腎不全末期・奇跡の終わり~

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初夏の日差しの中、日向ぼっこするマリモ。

31、再びの悪化 ~犬の腎不全末期・奇跡の終わり~

お誕生日の翌日、早速サラダチキンを作って食べさせてみると、マリモは喜んで食べた。私は嬉しくなって、きっとこの分ならもう少し食べられるものも増えていくだろうと思っていた。

しかしマリモが2歳を迎えた2日後の5月4日の朝、マリモは朝食を食べなかった。前日に買ってきておいたマドレーヌやクロワッサン、シフォンケーキを少し加熱してみても全く食べない。

しかしヨーグルトに混ぜたクレメジンだけはペロペロと舐めて綺麗に食べた。1時間置いていつものように漢方薬を飲ませようとしても、口を固く閉じて開けない。今まで嫌々でもちゃんと口を開けてくれたのに、今日は頑として口を開けず、懸命に抵抗した。

それでも家の中は歩き回っていたし、少しするとお腹がすいたのか置いてあったクッキーやパンの臭いをかぎに来ていた。私はマリモが何か食べたかったらいつでも食べられるよう、小皿に乳酸菌スティック、療法食のドッグフード、ちぎって小さくしたパン、細かく切った茹でサツマイモなどをケージの近くに並べて置いた。

再びの絶食

夕方までマリモはお水しか飲まず、食べ物の臭いは嗅ぎに来るものの、結局ひと口も食べなかった。私はいろいろ考えて、違う種類のシフォンケーキと、以前マリモが喜んで食べたミルクプリンを買ってきて小皿にのせてみた。

マリモはほんのシフォンケーキとミルクプリンをそれぞれ少しずつ食べて、その後クレメジンだけはいつも通り飲んでくれた。その後、もしかしたら炊き立てのご飯なら食べるかもしれないと思い、急いでご飯を炊いてみると、やはりスプーン1杯程度食べたけれど、それ以上は何も食べない。ペット用の牛乳やスープ等液体状の物を出してみても、全く口にしなかった。

そしてその日を境にマリモの食欲と体力はどんどん落ちて行った。誕生日の翌日には喜んで食べていたサラダチキンも全く受け付けなくなり、クッキーも口にしなくなった。

しかし、何も口にしないけれどお腹は空くのか、小皿に乗せた食べ物の匂いは嗅ぎに来る。そして結局何も食べず、黙って私の顔を見上げる。まりもなりに、食べなければ死んでしまうことをどこかで悟っていて、必死で食べられる物を探しているのだろう。「ママ、何かマリモが食べられる物ちょうだい。」と訴えているのだ。

私は何か食べてくれるものが無いかとベーカリーやスーパーを歩き回って色々と探してみたが、マリモが食べるのはヨーグルトとシフォンケーキ、あとはたまに炊き立てのご飯と、意外なことに療法食のドライフードも時々スナック菓子のようにポリポリ食べていた。

療法食を食べてくれるならそれに越したことは無い。幸いドライフードなので長時間小皿に出しておいても傷んだりぱさぱさになったりしない。f:id:Marimotan:20200726153450j:plain

5月12日のお散歩が生涯最後のお散歩になった。

衰弱するマリモ

マリモは食欲が落ちるにつれて、寝ている時間が多くなり、あまり散歩にも行かなくなった。公園で新鮮な空気を吸えば気分転換になるかもと思い連れて行ってみても、あまり歩こうとしない。あまり歩かずにいると足腰の筋肉が弱ってしまうので、出来れば毎日少しずつでも歩かせたかったけれど、もう以前のように歩くことは無くなっていた。

病院には3月の復活以降も一日おきに通っていた。しかしマリモの両前脚の静脈は既に固くなってボロボロで、もう針を刺せる場所は殆どないという。前脚に刺せない場合はどうするのかと尋ねたら、首の辺りか後脚に刺すしかないが、首だと恐らく多少痛みがあり、後足だと歩くときに強い違和感を覚えることになるだろうとのことだった。

4日以降食欲が一気に落ちてきているので、本当はまた連日点滴に通わせたかったけれど、もう点滴をさせる場所も少なく、出来ることは殆どなくなっていた。

近づく別れ

今度こそ別れが近づいているのかもしれない。涙が止まらない。幸いコロナの影響で毎日マスクをしているからあまり顔は見えなかっただろうけれど、私は動物病院に行くたびに泣きながら帰ってきていた。

この頃になるとマリモは天気のいい日は少し動き回るけれど、雨の日は一日中横になり、トイレとお水を飲むとき以外は全く起きてこなくなってしまった。

5月12日、マリモは相変わらずほとんど何も口にしないながらも、天気が良いからか窓際に日向ぼっこにやってきて、洗濯物を干す私の足元に伏せた。暖かな陽だまりでマリモは気持ちよさそうにしている。

私は気分転換にマリモを公園に連れて行って外の空気を吸わせることにした。マリモは池の周りをゆっくりとほんの少しだけ歩いた。池の方を見ると、鴨のお母さんと赤ちゃんが連なって泳いでいる。もう少し子鴨が大きくなったら陸地に上がってきて、芝生の上を歩き回るだろう。

 昨年の今頃、マリモと公園を散歩すると、母鴨の後ろに子鴨たち続き列をなして歩いている風景によく出会った。マリモは小さな子鴨に興味津々で、見かけると一目散に追いかけようとするので、マリモが子鴨ちゃん達に危害を加えることが無いよう、私はいつもリードを短くして強めに握りしめていた。

でも、今のマリモには子鴨ちゃん達を追う力はない。池の周りを半周歩いて排泄を済ませると、短い散歩を終えて家に戻った。そしてこの短いお散歩がマリモの生涯最後のお散歩になった。 

※まりもの名前は本来ひらがな表記ですが、文中では読みやすいようにカタカナにしてあります。

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