まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

チーちゃんの思い出:4、ギフト(2)私の鬱とパニック障害を癒してくれたチーちゃん

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眠れない夜、添い寝してくれたチーちゃん

4、ギフト(2)私の鬱とパニック障害を癒してくれたチーちゃん

もうかなり前のことになるが、あることが原因で私は精神のバランスを崩して、時々急に過呼吸になったり心臓発作のような激しい動機が起きるようになった。そして発作が怖くて電車に乗ることもできなくなった。医師の診断はPTSDパニック障害。今でこそ広く知られる病気になったけれども、私が診断された頃は、今程の知名度はなく、その症状はあまり多くの人に理解されるものではなかった。

症状の悪化は急速で、最初に違和感を感じてから2ヶ月後には大好きだった会社にも通勤できなくなった。そして遂にはパニック障害に加えて鬱にもなり、結局私は1年半休職した後、退職して療養することになってしまった。

精神的にも身体的にも辛い日々が続いた上に、大好きだった仕事まで失った私は落ち込んだけれど、その後は徐々に回復して何とか社会復帰を目指せるまでになった。しかし仕事を失い、収入を失い、療養生活で貯金もかなり減らしてしまった私の喪失感と落ち込みは激しく、なかなか前向きになれないまま家に閉じこもる日々は続いた。

一度家に閉じこもってしまうと、外出に対する精神的壁は思いのほか高くなる。私は完全に引きこもらないよう、勇気を振り絞って毎日近所のスーパーまでは出かけるようにしていた。しかしそれが精いっぱいで、なかなか長時間の外出は難しかった。

せっかく回復してきて社会復帰へのリハビリに踏み込むスタートラインに立ったと言うのに、私はそこで立ち止まって動けない。全く前に進めず焦燥感ばかりが募る。そんな私に一歩前に踏み出す力をくれたのはチーちゃんの存在だった。

療養中、私は本来なら実家に戻るべきだった。しかし諸々の事情でどうしても実家に戻れなかった私は仕方なく一人暮らしを続けていた。

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私のお散歩にいつでも付き合ってくれたチーちゃん

チーちゃんの癒し力

そんな私の所へチーちゃんは度々母に連れられてやってきた。私の家にいるあいだ、チーちゃんは何をするわけでも無い。母が作り置き用の食事を作ったり掃除をしている間、ただ私の横に座ったり膝の上に乗ったりして愛嬌を振りまいているだけだった。しかし犬の癒し効果というのは本当に絶大で、私はチーちゃんが居てくれると、不思議と気持ちが落ち着いて、時に笑うことさえあった。

当時、母や友人達もたくさん応援して助けの手を差し伸べてくれたけれど、チーちゃんの寄り添いは、それとはまた違う次元の力を私に授けてくれたように思う。落ち込んで眠れない夜さえもチーちゃんが枕元にいてくれると、大概は眠ることができ、たとえ眠れなくても強烈な不安かられることは無かった。

スーパーと精神科までの道を歩く以外の外出のきっかけをくれたのもチーちゃんだった。とにかく外出していかなければこの先には進めないと思い、ほんの少しずつ家の周りを散歩し始めたとき、チーちゃんとの散歩はちょうど良いトレーニングになった。そしていつでも私のペースに合わせて歩いてくれるチーちゃんは誰より心強いリハビリの相棒になってくれた。

その後私は無事に社会復帰を果たし、あの頃のことは遠い過去の出来事となっている。しかし思い返してみれば、あのパニック発作、薬の副作用、怖くて電車やエレベーターに乗れないなどの他人からは理解されない症状、挙句仕事も収入も失った喪失感に苛まれた苦しい日々から抜け出そうと必死にもがいていた私に、チーちゃんはその抜群の癒し効果で社会生活に復帰するための大きな力を授けてくれた。

そんな恩犬であるチーちゃんも、10月も終わりに15年の生涯を閉じて虹の橋に旅立ってしまった。一緒に過ごした日々を振り返ると、チーちゃんには私も母も与えられてばかりで、母はともかく私はあまり恩返しは出来ていなかったと今更ながら後悔している。

今頃チーちゃんとマリモは虹の橋で元気に一緒に遊んでいるだろうか。いつかまた会えるその日まで2匹で仲良く待っていて欲しい。そしてどんなに感謝しても足りない恩犬のチーちゃんには、何度でもありったけの感謝の気持ちを贈りたい。

チーちゃんは父からのギフト?

最近、チーちゃんにお線香をあげに実家に行った際に、ピリカの元気はマリモからのギフトだと言われた話をした。

marimotan.hatenablog.comすると母は「じゃあ、もしかしたらチーちゃんはお父さんからのギフトだったのかもね。」と言った。確かにそうかも知れない。子供達も独立してやっと自分達の時間が出来たと思った矢先に突然他界した父は、独り残した母と、独立したとはいえまだまだ半人前の娘を心配してあの可愛いチーちゃんを送り込んだのだろうか。そうであればあの初盆の日、帰ってきた父をチーちゃんが大歓迎で迎えたのも納得がゆく。

marimotan.hatenablog.com

 父亡きあと、すっかり落ち込んでしまった母を元気にし、パニック障害で心が折れかけた私にもう一度立ち上がる勇気をくれた、あのただの犬とは思えない大活躍も、父が裏でこっそり糸を引いていたとすれば、あり得ない話でもない。

もしチーちゃんが父からのギフトだとすれば、チーちゃんは15年かけて父から託された使命を200%以上果たしてくれた。

長い間、母を支え私を見守ってくれたチーちゃん。役目を果たした今はゆっくり休んでほしい。

 

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