まりも日和

先天性腎臓形成不全による重度の腎不全のため、2歳と18日で虹の橋へ旅立った愛犬「まりも」について綴った「まりも物語」(腎不全と闘った642日間の記録)と、2020年8月に我が家にやってきたおてんば娘「ぴりか」の成長記録「ぴりか日記」、ハンドメイドについて書いた「Atelier Marimo」、その他夫婦二人生活の日々の出来事や思うことを綴ったブログです。

ペットロスを超えて:5、罪悪感

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夫と遊ぶピリカ

5、ピリカとマリモへの罪悪感

ピリカはマリモに比べて好奇心旺盛で、知らない場所でも全く物おじしない。家での行動範囲はマリモより遥かに広く、ケージから出すといつまででも家の中を探検して歩いた。しかもとても気が強く、まだ遊びたいのにケージに入れてしまうと物凄く怒って吠え、遊んでいる最中には私や夫の指を噛む。

とにかく言うことを聞かず、随所に気の強さが表れているピリカを見るうちに、私はこの子は小さいうちにしっかり躾ておかないと、大変なことになりそうだと感じるようになった。

そこで私は、早速マリモもお世話しなったトレーナーさんに連絡を入れ、ピリカを見に来てもらうことにした。やはりトレーナーさんから見ても、ピリカは月齢の割に自己主張が強く頑固なので、早めにしっかり躾けた方がいいという。私はその場でトレーニングを始めることに決めた。

こうしてピリカは生後2か月にしてトレーニングを受けることになった。トレーナーさんから見てもこの子は気が強い。しかも無駄吠えが酷く、うるさくて窓も開けられない。どうにかしなければと頭が痛い日々が続いたけれど、そんな私達の悩みを尻目にピリカは日々スクスクと育ち、日々お転婆ぶりを増していた。f:id:Marimotan:20200923212456j:plain

お腹を出して眠るピリカ

成長するピリカがマリモと重なる

順調に成長しているピリカは、だんだんと我が家にやってきた頃のマリモに似てきた。同じ犬種なのだから当たり前の話だし、ピリカの成長ぶりを見るのは嬉しいことでもあったけれど、その嬉しいはずの成長が私にとっては思わぬ問題となった。

ピリカは、在宅勤務の夫の愛情を一身に受けて元気に成長していた。これからきっと楽しいことがいっぱいあるだろう。本来微笑ましいはずのその姿は、我が家にやってきたばかりの頃、まだ腎不全など考えもしなかった頃のスクスクと成長していたマリモを彷彿とさせた。

マリモだって幸せに暮らすために生まれてきた。あんな闘病ばかりの日々を過ごすために生まれたわけでは無かったはず。目の前で楽しそうに夫と遊んでいるピリカを見ていると、生前に夫と遊んでいたマリモの姿を思い出し、涙が込み上げてきた。ピリカだってご縁があって我が家にやってきた可愛い子で、この家で元気いっぱいに成長しているというのに、私はその可愛い姿を見ながら涙を堪えるのに必死だった。

ピリカが元気に成長していることは素直に喜ばしい。しかしその反面、私には苦しい闘病ばかりの生活を送り、僅か2歳で絶命したマリモがただただ哀れでならなかった。私までピリカを可愛がって楽しく暮らしてしまうことは、マリモだけを過去の思い出の中に置き去りにするように思えて、私はピリカを可愛がることに罪悪感を覚えるようになっていた。

ピリカはマリモの代わりではない。ピリカはピリカで大切な我が家の子。ピリカは私にもすっかり懐き、仕事から帰れば玄関先まで走ってお迎えに来てくれる。しかしそんな姿でさえ、まだ元気だった頃に私が帰宅すると一目散に走って出迎えてくれたマリモを思い出させ、涙が込み上げてくるばかりだった。

罪悪感

夫はそんな私の様子を見かねて「泣いてもマリモは帰ってこない。マリモだってママが毎日泣いているのなんて見たら悲しむよ。」「ピリカを可愛がってあげるほうがマリモだって喜ぶと思う。」と折に触れ忠告してくれた。夫の言うことは至極真っ当で、私もそれは理解していた。でもどうしてもどうしても気持ちが付いていかない。私はピリカとの距離がうまく取れず、頭の中でピリカとマリモを結びつけては泣いてばかりいた。

勿論私はピリカのことも可愛いと思っている。でも、赤ちゃんだった頃の愛らしかったマリモの姿がピリカと重なり、マリモのことが余計に頭から離れなくなっていた。

これはマリモにとってもピリカにとっても良くない。ピリカはそんな私の思いには関係なく、無邪気に私に纏わりついてくる。ピリカを可愛がることに対するマリモへの罪悪感と、何の罪もないピリカを素直に愛してやれないことに対するピリカへの罪悪感で、私はうまくピリカに接することができなかった。

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